起源 |
日本特産の植物でリンドウ科のトウリンドウ、またはそのほか同属植物の根および根茎。本来は関東以西の山野に自生していた。
茎は直立か斜め上にのび、葉は対生して柄がなく、茎を抱きこむようにつく。全縁で縦に走る三本の脈が目立つ。
源氏の紋所は、リンドウの花と葉を巧みに図案化したものだという。
薬になるのは根。秋に根を掘り取り、水洗いして日干しにしたのが生薬の竜胆である。
薬局方にも収載されている生薬である。ゲンチアナ根に代用できる。
中国産の「関竜胆」 (東北諸省産)のなかには、G.trifloraPALLASの地下部を混じている。また「雲南竜胆」「貴州竜胆」 (雲南、貴州、四川省産)
はG.regescensFr.の地下茎部を起源とする。
かって日本産の「樺太竜胆」または「蝦夷竜胆」と称する生薬が市販されたことがあるが、このものの起源はエゾリンドウの地下部であったが、今日では市場性はない。 |
産地 |
中国 (東北諸省、内蒙古、浙江、安徽) 、韓国、日本(長野、北海道) 。 |
成分 |
モノテルペン配糖体 (苦味配糖体)のゲンチオピクロシド、スエルチアマリン、スエルチオシド、トリフロシドなどのほか、キサントン誘導体のゲンチシン、糖類のゲンチアノース、ショ糖などを含有する。 |
応用 |
胃弱、食欲不振、胃部・腹部膨満感、消化不良、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃のむかつき。ゲンチアナと同様に用いる。民間療法では消化不良や食欲不振に用いられてきた。
苦味が舌先を刺激して、大脳反射により胃液の分泌をうながすという。 |
処方例 |
竜胆瀉肝湯、疎経活血湯など。 |
用法・用量 |
煎剤、散剤、丸剤。1日1〜3グラム。
竜胆三グラムを500mlの水で半量になるまで煎じ、これを一日量として三回に分服する。 |