用水、土塀、芸能の町、金沢(5)・中村高畠用水

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用水、土塀、芸能の町、金沢(5)中村高畠用水

中村高畠用水

犀川七ヶ用水の一つであるこの用水は、下菊橋と桜橋の中間地点にある堰堤付近を取水口にしている。対岸には
大野庄用水の取水口も望むことができる。釣りシーズンともなればこのあたりは釣り人がたむろしている。
この流れは、すでに取り込まれている泉用水と平行して桜橋を越え、犀川大橋を潜り抜け千日町の裏西側で本来
の水門から街中へ入ってゆく。この用水は旧米丸村の8集落と、戸板村の大豆田の水田を灌漑していた。
1818年(大正7年)までは中村用水と玉鉾高畠用水に分かれていたが中村用水は今の旧取水口から、高畠用水
はさらに200m下流から取水していたといわれる。
しかし、洪水のたびに堰堤が流失するという状態で苦労していたようである。
そこで両用水は合併し、現在の中村高畠用水が実現した。
ところが、犀川の下流を取水口にしている関係で旱魃のときには水不足、洪水のときには流されるという具合で悩みは
つきなかったらしい。この用水は犀川と伏見川に囲まれた三角形の扇状地帯の農業用水としての目的用水であり、
歴史的遺稿はあまりない。下流では玉鉾用水、入江用水、東力用水に分流する。
周辺部には文学的遺産もなく、正直いってあまり面白くない用水であるが仮にも金沢を代表する犀川七ヶ用水でもあり
ご紹介しようと思う。ただ、この用水にはあゆ、ぐず、はりさば、びんごなどが捕れたという話もある。


・この写真の橋は上菊橋である。はるかかなたには医王の山並みを望むことができる。川岸はすぐに寺町台地の崖になっており、崖上にはそそり立つ様に住宅が立ち並んでいる。地盤は大丈夫なのだろうか、時々崖が崩れたという話も耳にする。しかし、眺めは超一級である。
曽野綾子は東京に生まれ育ったが、女学生のときに疎開で金沢の寺町に住んだことがある。写真の右手にあるのが寺町台地である。一年近く県立第二高女に通ったそうである。曽野綾子さんとは一度しゃべったことがあるが勝手に引用すると叱られそうであるが、
「金沢の夏は暑かった。眼下の犀川には、右手の上流のほうに上菊橋、左手の下流のほうに桜橋がかかっていたが、主に下菊橋の上を、戦闘帽の後にだらりと布を下げた兵隊の一隊が、決まって正午と夕方と軍歌を歌いながら通って行った。」(文学界「黎明」)


・左の中程から上に鉄製の柵が見えるが、そこが中村高畠用水の取水口である。対岸には大野庄用水の
取水口がある。


・左に見える柵の所が現在の取水口である。下流方向の堰堤の向こうに桜橋を見ることができる。右岸から見た桜橋
と違い同じ橋だが、ただの橋にしか見えない。


・右上に青く流れているのは犀川であり、架かっている赤く塗られた橋は犀川大橋で木造橋である。そのすぐ袂から
細く流れているのは泉用水である。江戸期にはなかったと思われる中村高畠用水はさらにその下流100m位の所に
取水口がある。


・この橋は金沢を代表する犀川大橋である。かっては木造橋であり、このあたりまで宮腰(金石港)から木材、物資
などが運ばれた。対岸にあった旧北国銀行を壊したときには、その証拠に船着場の遺構も見つかったという話である。
すぐ右手には室生犀星の養家である雨宝院があり、犀星もこの大橋を何十辺となく行ったり来たりしながら後世に
残る抒情詩を作り上げた。


・犀川と平行して走ってきた用水はここから街中へ入ってゆく。かってはここに取水口があった。しかし、ここでは
水を取り入れるのは大変だろうという気がする。位置そのものが川面から随分と高い。堰堤の造成やその他の
条件を差し引いてもも厳しいものがあったことが伺える。


・敬栄寺の前を通りすぎ、民家の前を流れていく用水。この右手に金沢を代表する和傘の店がある、伝統を守る
ことが豊かで自由な生活ができるということと表裏一体でなければ歴史的遺産や遺構は後世には残らないだろう。


・千日町を通り過ぎた用水は民家の前や後ろを迂回しながら、暗渠部分になっているところもあるが、中村町に
近づいたところで民家の裏で二つに分かれる。右に折れた犀川側の流れは中村町と千日町の境となって犀川
に平行する形で進んでゆく。さらにJR北陸本線の高架下を通リ過ぎると下の高岡中学校の前を通過する用水
となる。


・高岡中学校の前を通りすぎ、新神田の住宅団地前を流れる用水、側溝は整備されている。


・小さな分水は玉鉾用水であり、左の本流が中村高畠用水である。本流の中村高畠用水は玉鉾と入江の
境を流れてゆく。





・この白山神社の後ろを用水は流れている。

 
・神社の裏手に用水はひっそりと流れていた。 ・この野間神社の手前のほうを北側に分かれた用水が流れている。

 
・白山神社の先で用水は二手に分かれている。 ・御馬神社の前には南側の用水が流れている。



 
・高畠神社の前を通リ過ぎた用水は一路犀川に向かって流れてゆく。 ・高畠神社の前を通リ過ぎた用水はまもなく犀川へとたどり着く。


・米丸町内を西に進み、御馬神社の前で北側に折れ、米丸中央公園の西側で入江用水と合流し、
クリーニング工場近くを通り過ぎ犀川に向かう用水。この入江用水はかなり上流の敬栄寺の先で
中村高畠用水が分流したものである。


・北側の流れは野間神社から右折し、倉庫精練米丸工場の脇を通りすぎ、長い塀沿いに西に向かい
印刷工業団地の近くで犀川へ注ぐ。




・用水は幾筋かに分かれながら犀川へと流れてゆく。


・中村高畠用水は犀川高畠地内で犀川と合流する。水門の先に見えるのは県立野球場である。やっと辿りつた。
何も報酬はないが、高い山の頂に登ったような感情が沸いてきた。


・中村・高畠用水の出口水門である。


・犀川の上流の遠望である。土手は土盛りのままで整備されていないが雄大な光景であった。


(発行者)中屋彦十郎薬舗(株) 中屋彦十郎   石川県金沢市片町1丁目1−29


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