沈香(じんこう)

名医別録の上品に収載されている。その性状によって伽羅(きやら)、奇楠香(かなんこう)、真南盤などと呼ばれている。黄熟香は蘭奢待(らんじゃたい)といわれ最高級の沈香である。
「基源」
ジンチョウゲ科の常緑高木、ジンコウの偏材の材質中に黒色の樹脂が沈着した部分を採集したもの。中国産の沈香は「土沈香」「海南沈香」「女児香」などと称する。「インド沈香」のなかにはトウダイグサ科を基源とするものがある。良質のものは比重が重く大きく水に沈むため沈香の名がある。ジンコウは生木に芳香性の樹脂が含まれているのではなく、切り株の損傷部や枯死したあとに自然と集まってくる樹脂である。また木材が倒れて土中に長い期間埋まり、腐敗した後に樹脂を含んだ部分だけが残る場合もある。最近では、幹に人工的に傷をつけて樹脂を分泌させたり、木材を10年以上埋めて腐らせて沈香を採集する方法も用いられている。沈香は燃やすと独特の甘い香りを放つ。
「産地」
主にベトナム、カンボジアに産する。台湾、中国海南省、広西壮族自治区。
「成分」
精油(ベンジルアセトン、パラメトキシベンジルアセトン、ヒドロケイヒ酸、パラメトキシヒドロケイ皮酸。
「薬理作用」
鎮痛、鎮静、抗菌(煎液;結核菌、チフス菌、赤痢菌)。
「応用」
健胃、整腸薬としてヒステリー、喘息、心臓衰弱に応用する。
「使用例」
高級線香、合わせ香の原料とされる。
「用法・用量」
煎剤。1.0g(1.5〜4.5グラム)。粉末にして香料とする。