熊胆 (ゆうたん・くまのい)
熊胆は「薬性論」に「小児の五疳を主治し、虫を殺し、悪瘡を治す」とあり、唐本注、神農本草経にも収載されている。
クマノイを獲るために猟師は雪山を越えて熊の穴を探しもとめる。冬期間にとれた熊の胆は匂いがしない。射殺したクマから血液や脂肪の夾雑物が入らないように胆嚢を取り出し、これを陰干しにするとカチカチに固まる。
これが生薬の熊胆で、不透明黒色の固い塊である。多くは卵球形である。一種の香気があり、味はきわめて苦い。粗悪品は魚臭い臭気がある。
粗悪品のほとんどはウシやブタの胆汁に植物のリンドウ、オウレン、オウバクなどのエキスを混和し、クマの胆嚢に充填した偽物である。熊胆は品薄で、製剤原料にも入手困難となっている。
生薬市場に出回る熊胆はほとんどが中国、インド産である。日本産は希少品で北海道のヒグマ、北陸地方のツキノワグマからとったものである。牛胆や動物胆を掴まされないように注意しなければならない。
| 起源 | クマ科のツキノワグマ、およびヒグマもしくは変種の胆汁を乾燥したもの。かってはネパール・ヒマラヤ産のものが輸入されていた。通常胆嚢に入った形で出回っている。日本産の熊胆はニホンツキノワグマの胆汁で、ときに北海道のエゾヒグマの胆汁も用いられる。現在はワシントン条約で熊胆の取引は禁止されているが、中国産の飼育熊の熊胆が注目されている。熊胆は、他のウシ、ブタなどの獣胆のように丸剤にしたとき室温で湿潤しないため、江戸時代に製剤上の便利さからか、頻用されるようになった。 |
| 産地 | 中国 (各地) 、ネパール、インド、日本など。 |
| 成分 | 薬20%の胆汁酸 (ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸、デオキシコール酸、ヒヨデオキシコール酸のタウリン、またはグリシンの抱合体、コレステロール、胆汁色素、アミノ酸などを含有する。 |
| 薬理作用 | 胆汁分分泌促進、利尿、鎮痙作用 (水エキス) 。 |
| 応用 | 苦味健胃、鎮痙、鎮痛、利胆、消炎、解熱薬として、胃痛、下痢、黄疸、小児の疳疾、腸内寄生虫症などに応用する。また結膜炎などの眼病、痔疾、腫痛に外用する。 |
| 処方例 | 六神丸、奇応丸、反魂丹、黒子丸、熊胆麝香丸、妙功十一丸 |
| 用法・用量 | 丸剤、散剤。1日0.3〜1.0グラム。外用は多量。 |
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