十全大補湯 (じゅうぜんたいほとう)
| 用量 | 人参・黄耆・白朮・当帰・茯苓・地黄・川芎・芍薬・桂枝各3 甘草1.5 |
| 目標 | 気力、体力ともに衰えて貧血傾向のあるもの 、ただし下痢しているとき、嘔吐のあるとき、食欲不振のひどいときは用いない |
| 適応症 | 大病後や慢性病の疲労衰弱、産後や手術ごの衰弱、諸貧血、慢性化膿性疾患骨結核、るいれき、痔婁、脱肛、夢精、痢疾後や大病後の視力減退、衰弱者の皮膚病、カリエス、子宮脱、寒性膿瘍 |
漢方薬「十全大補湯」が、ガン細胞の転移を防ぐ効果があることは富山医科薬科大学和漢薬研究所の済木育夫教授の研究で明らかになった。済木教授はマウス実験で十全大補湯が、生体防御機構に関係したマクロファージとよばれる細胞集団を活性化させ 、転移しようとするガン細胞を攻撃することを突き止めた。副作用がないことから臨床への応用も検討されており、同教授は和漢医学会で発表する予定である。
十全大補湯は地黄、芍薬、人参など十種の生薬を配合した漢方薬で、主に病後の体力回復などに用いられている。済木教授は免疫機能をたかめるこの薬に着目、ガンの転移抑制に応用するためマウス実験を開始した。実験では、高転移性のガン細胞を注射した12匹のマウスを6匹づつに分け 、1グループには十全大補湯を一週間にわたって毎日40mgずつを投与し、もう一方のグループには投与せず、違いを調べた。
三週間後、両方のマウスの肝臓を調べたところ、十全大補湯を投与しなかった六匹は、いずれも腫瘍が転移し 、肝臓が膨張していたのに対し、十全大補湯を投与したグループには、ガン細胞の固まりである結節が殆ど確認されなかったうえ 、体重の減少や脱毛などの副作用もみられなかった。
同時に、高転移性のガン細胞を注射した別のマウス六匹にシスプラチンと呼ばれる投与した実験では 、転移に抑制効果はみられたものの、六匹のうち三匹が副作用で三週間以内に死亡した。
済木教授は「漢方薬でのガン治療は一般的ではないが、将来的には抗ガン剤との併用で 、ガンの転移をかなり予防できるはずだ。」と話している。